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Foreword

 歴史を創る人間の居ない閉ざされた世界。

妖怪は過去の出来事を歪めて記憶し、幻想郷は事実を見つめようとしない。

その所為もあって、妖怪の実態も判らず、ただ人間は怯えるしか無かった。

 もっと妖怪の能力や対策が判っていれば、予め幻想郷の危険な場所が判っていれば、妖怪退治を得意とする人間の事が判っていれば、怯えて暮らさなくても済むのに、と思っている事だろう。

 我が稗田家は、人間の生活の安全を確保するために、百二十年から百八十年に一度、幻想郷で目立った妖怪を纏める事にした。

それがこの『幻想郷縁起』である。

千年以上前の阿一の代から始めていて、すでに私で九代目である。

幻想郷縁起では、妖怪図鑑、英雄伝、危険区域案内、未解決資料、独白に分けて、幻想郷の実態を纏めている。

妖怪図鑑は、妖怪の種族毎に傾向と対策をまとめ、さらに現在存在が確認取れる妖怪を個別に記録した物である。

この図鑑は、幻想郷で必要以上に妖怪を恐れたり、反対に強い妖怪に手を出さない為の指針である。

妖精や幽霊など頻繁に遭遇する妖怪から、天狗や吸血鬼といった強力な妖怪まで全てを、能力、危険度、遭遇場所や時間、頻度付きで網羅している。

全て図説有り。

里の人間に最も役に立つ項目だろう。

 英雄伝は、人間の里に住んでいない人間で、妖怪退治や異変解決等を行ったりしている者の紹介である。

基本的に人間の味方であり、妖怪の被害に困ったら、ここに載っている者に相談してみると良いだろう。

謎が多い人間が多いが、その謎についてもいくつか触れてみた。

危険区域案内は、幻想郷の主な場所に付いてどのような危険があり、どういった場所なのかを記述した。

そこに行くにはどういう準備が必要なのか、予備知識として読んで欲しい。

人間の里から出る事がある場合は、よく読んで頂きたい。

 未解決資料は、資料として不完全な物、幻想郷に相容れない物、新聞、等を挟んである。

これはこれから纏めて資料に書き起こす予定である。

独白は、私、九代目の阿求が本を纏めるに当たって思った事、幻想郷に付いて思う事を書いた物である。

読んでも読まなくても良いが、読んで貰えると嬉しい。

 幻想郷縁起はこの本で九冊目となる。

過去の幻想郷縁起より、新しい風を吹き込みつつ、出来るだけ今風にデザインし直し、遥かに読みやすい内容となっていると思っている。

古書の様に読みにくい筆文字で、難解な文章が嫌だから幻想郷縁起は読みたくない、という人間にも読んで貰おうと思った次第である。

 それでは、幻想郷縁起をよく読んで、素敵な貴方に安全な幻想郷ライフを。

九代目阿礼乙女 稗田阿求

Hieda no Akyu, the Nineth Girl of Are

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